女性研究者を支援する取り組み : 第1回 東京大学のポジティブなアクション

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都河明子

世界の主要大学に占める女性教員の割合は、カリフォルニア大学バークレー校が35%、ハーバード大学およびイェール大学が32%であるが(図1)、東京大学では9%(日本の国立大学平均12%)とかなり低い値を示している。研究は普遍的で、成果や評価は個人の業績によるものなので、女性がとくに能力を発揮しやすい分野である。欧米と比べ、日本女性の研究能力が劣っているはずはなく、また、海外の女性研究者にとっても研究と育児の両立は困難な課題であることは同様であろう。なぜこのような差が生まれているのだろうか?

この差の原因を調べるため、これらの大学の女子学部生の割合を調べると、カリフォルニア大学バークレー校が54%、ハーバード大学が49%と高いが、本学では20%弱である(図2)。海外の女性研究者も育児との両立が難しく仕事を中断せざるを得ない場合もあると思うが、研究者予備軍である女子学生数が多いため、全体として女性研究者比率の割合が安定しているのではないかと推測している。日本においては、女性研究者の加速的登用はもちろん必要であるが、学部・大学院の女子学生数を増やすことも緊急の課題であると考えている。

小宮山宏・前東京大学総長は「国際化にかける東大の将来にとって女性と外国人が重要」と、少子高齢化で男性に代わる人材確保のためではなく、“多様な知”と“斬新な視点”が加わることで新たな科学技術研究分野が拓かれる可能性があるとの見解を発表している。

東京大学では、さまざまな女性研究者支援の活動を進めている。本稿ではそのおもなものを紹介する。