景観を科学する ―風景を保全・整備するための技術―

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東海林克彦

美しい街並みや美しい景色に対する人々の関心は高い。「衣食足りて礼節を知る」というが、社会の成熟化に伴い、快適で豊かな生活空間の確保に対する人々の要求が高まり、景観の保全・整備は、私たちの暮らしと密接不可分のものとなってきている。一般に「景観」というと、人の感性に関係するものであることから、芸術の分野の問題であると考えられがちである。しかし、景観工学、景観論、森林風景計画学といった学問分野があり、そこでは、景観を科学的に扱い、多岐にわたる調査研究が積重ねられてきている。建築学に比肩してみると、科学技術としての景観のイメージがおぼろげなりに浮かんでくるだろう。スペインのバルセロナにあるガウディのサグラダ・ファミリア教会をみると建築は芸術であると思いを抱くであろうが、皆さんの近所にある病院や学校などをみると建築は技術であると理解することもできるのではないだろうか。

科学技術としての景観は、造園学、認知心理学、自然地理学、土木工学などにまたがっている学際的な学問分野である。先人たちの功績によりさまざまな知見が蓄積されてきているが、発展途上にある学問分野であるために、体系的な総合化についてはいまだに試行的な段階にあるといってもよいかもしれない。このような状況を踏まえて、本稿で紹介するのは主要な典型的領域に限定したことをお断りしておく。