性差の謎 ―なぜ雄と雌がいるのか?―

加算ポイント:3pt

商品コード: adma0273

¥ 315 税込

関連カテゴリ

  1. 生命科学

商品について

長谷川眞理子

私たちは誰でも、生物と無生物の違いは、直感的にわかるような気がするものだ。石ころとミミズは違う。紙切れと葉は違う。造花と本物の花がすぐにわかる。しかし、「生物とは何か?」という問いに答えるのは、なかなか難しい。

生物は膜に包まれている。そうして、外界から区別されてはいるが、決して閉じた系ではない。外界との間で物質のやりとりがある。外から物質とエネルギーを取入れ、それを代謝してからだを維持し、成長する。さらに、からだの作りを決める遺伝情報を持っていて、それをもとにして、自分と同じものを再生産する。このような性質を備えた存在、つまり、代謝のシステムと複製のシステムを備えたものが生物といえるだろう。

生物は膜に包まれている。そうして、外界から区別されてはいるが、決して閉じた系ではない。外界との間で物質のやりとりがある。外から物質とエネルギーを取入れ、それを代謝してからだを維持し、成長する。さらに、からだの作りを決める遺伝情報を持っていて、それをもとにして、自分と同じものを再生産する。このような性質を備えた存在、つまり、代謝のシステムと複製のシステムを備えたものが生物といえるだろう。地球上での生命の起源は、およそ38億年前と考えられている。それがどんなものであったにせよ、生命は、今に至るまで連綿と続いてきた。この地球上に存在するすべての生物は、ひとつの祖先にまで遡ることができると考えられている。つまり、今いる生物の祖先は、複数ではなくて、たったひとつなのだ。

あなたにはお父さんとお母さんがいる。そのお父さんとお母さんには、それぞれ、お父さんとお母さんがいる。こうしてどんどん、ずっと祖先を辿っていくと、なんと38億年前までつながって遡れるのだ。今、動物園にいるチンパンジーには、お父さんとお母さんがいる。そのお父さんとお母さんには、それぞれ、お父さんとお母さんがいる。こうしてどんどん、ずっと辿っていくと、600万年ほど前に、あなたのお父さんとお母さんの祖先とがつながる。そして、チンパンジーの祖先も、結局は38億年前の生命の起源にまで遡る。

それだけではない。今、木の枝で鳴いているスズメも、道ばたのタンポポも、あなたが今晩食べる魚も、今、目の前にいる生き物はすべて、そのお父さんとお母さんを辿って祖先を辿っていくと、みんなひとつにまとまって、38億年前の生命の起源に辿着くのである。これは素晴らしいことではないだろうか?