DNA鑑定で偽装牛肉を切る!! ―牛肉の科学―

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万年英之

最近では産地偽装に代表される食品の偽装表示問題が連日のようにニュースに流れ、非常に嘆かわしいところである。牛肉においても例外ではなく、外国産輸入牛肉を国産牛肉と偽称した事例に代表されるような不祥事が絶えない。2001年に国内で初めての牛海綿状脳症(Bovine Spongiform Encephalopathy:BSE)感染牛が確認され、社会を揺るがす問題になった。この感染牛の発生は牛肉の安全性に対する消費者の不信を招き、牛肉の需要が激減したのは記憶に新しいところである。さらに、このBSE問題の対策の一環として食用牛買い取り制度が施行されたが、オーストラリア牛を国産牛と偽って業界団体に買い取らせようとした牛肉「偽装・詐欺」事件により、牛肉に対する消費者の信頼は地に落ちてしまった。正しい表示に基づく牛肉の販売は、消費者や生産者の受益といった点で非常に重要である。

牛肉の偽装表示はさまざまなケースが存在する。たとえば、輸入牛肉を国産牛肉として偽装されることもあれば、ホルスタイン種や交雑種を高級牛肉として知られている黒毛和種として偽装される場合もある。さらに、同じ黒毛和種でも産地の違いによる偽装も存在する。これら偽装表示問題は食品流通モラルの低下が直接の原因であるが、これら品種を簡便に判別する手段がないこともその要因である。

本稿では、それら偽装表示や牛品種の背景について説明し、次いで、我々が開発したDNAマーカーによる黒毛和種とホルスタイン種、およびその交雑牛の鑑定技術や豪州産輸入牛肉に対する品種鑑定技術について概説する。