生き物たちに向けてきたまなざし : 第6回 昆虫が敲いた新科学の扉 2 無脊椎動物に揺さぶられた比較解剖学

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西村顯治

ルネッサンス時代の新科学台頭にインパクトを与えたのは昆虫だったが、アリストテレスの『動物誌』でも取り上げられた甲殻類や、頭足類、二枚貝や巻貝など軟体動物の解剖学も、18〜19世紀には、リスター、ハンターその他の解剖学者によってほぼ完成した。その頃の王立協会報には、センチュウやカンテツなどの解剖も載せられた。また、レーヴェンフクの飽くなき探求心がエンジムシの生活史やアリマキの単為生殖などに向けられたのも見られる。しかし、ラマルクが彼の研究の出発点について述べたように、無脊椎動物は、博物館でもまだ、標本が雑然と未整理のまま集積した状態だった。博物館でその部門を担当したことが彼の進化学説を提起した機縁となったことは、すでに述べた。フランス革命に翻弄されたその博物館で、その後、無脊椎動物と脊椎動物を貫く統一性があるかどうか、論争が繰り広げられたのである。