細菌によって引き起こされる食中毒

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寺嶋淳

食中毒は、急性の胃腸炎症状をおもな症状とする健康被害であるが、その原因は、有害化学物質や自然毒から細菌やウイルスなどの病原微生物まで多様である。しかし、報告されている食中毒の原因は大多数が病原微生物であり、ごく最近ノロウイルスが原因となる事例が急増したものの、主たる原因は、細菌によるものである。細菌による食中毒は、その発現する機序によって、感染型と毒素型の大きく2つに分けることができる(表1)。感染型食中毒では、飲食物とともに接取された原因菌が腸管内で増殖し感染を起こすか、食品内で大量に増殖した菌が感染を起こすことにより生じる。一方、毒素型食中毒では、食品中で原因菌が増殖し産生した毒素を摂取することによって生じるので、必ずしも食品中に生菌が存在しなくても発生する食中毒である。

細菌性食中毒の原因菌として、かつては腸炎ビブリオ、黄色ブドウ球菌およびサルモネラが3大原因菌であったが、その後、病原性大腸菌やカンピロバクター菌による食中毒が増加し、現在ではカンピロバクター菌、腸炎ビブリオおよびサルモネラを原因菌とする食中毒が多い。一方、近年の食材・食品流通の広域化に伴って同一汚染源が疑われる広域の食中毒が発生することも最近の食中毒の特徴といえる。また、生肉を食べたことが原因と考えられる食中毒が多いことなどから、食生活の変化も細菌性食中毒の発生状況と密接に関連しているものと考えられる。