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久原孝俊

食事制限(カロリー制限)が、がんの発生や自己免疫疾患の発症を抑制し、個体の寿命を延長させるということがいわれて久しい。たとえば、筆者が学生であった30 年以上も前に、自己免疫疾患自然発症モデルマウスの食餌を制限すると、自己免疫疾患の発症が遅延するという報告がなされていたのを憶えている。一方、最近、大規模疫学調査によって、総コレステロール値160 〜 200mg/dlを基準にして、その基準値より総コレステロール値が低い人の死亡率が男性では1.6 倍、女性では1.4 倍となり、その基準値より総コレステロール値が高い人では死亡率は変わらなかったという研究結果が発表された。細胞膜の材料となるコレステロールが少ないと、免疫担当細胞が悪影響を受け、がんや感染症のリスクが高くなると考えられている。また別の研究において、Low Density Lipoprotein (LDL)コレステロール(いわゆる、「悪玉コレステロール」)値についても、低い人では死亡率が高い傾向がみられたことが報告された。

Nature Biotechnology 最新号(2008 年4 月号)に、「従来の老化理論に危機」“A mid-life crisis for agingtheory”と題して、これまでの老化理論の見直しをせまる興味深いニュース記事が紹介されている。すでに記載したことであるが、本欄は上記ニュース記事の翻訳ではなく、上記ニュース記事を読んで、筆者が自由にまとめたものである。