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島田浩章 プラスチックは、軽くて丈夫で成型が容易なことからさまざまな用途に用いられる、我々の生活に不可欠な材料である。しかし、近年は原油の価格が急激に高騰し、それとともに石油化学製品の値段が上昇していること、また、化石燃料を燃焼して生じる二酸化炭素は地球温暖化を引き起こす主原因であると考えられることから、石油に依存しない社会を構築することが求められている。このような背景から、バイオマスを原料としたプラスチック(バイオプラスチック)への期待が高まっている。 バイオプラスチックには、植物のデンプンなどを乳酸発酵して得られた乳酸を重合して作られる、ポリ乳酸などが知られているが、この生産には有機合成プロセスが必要である。一方、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)は、Ralstonia eutropha などの土壌微生物が貯蔵物質として合成する高分子脂肪族ポリエステルである(図1)。 PHAは、細胞内の酵素反応のみで合成が可能であり、有機合成のプロセスを経ずに生物だけによる生産が可能なバイオプラスチックである。そのため、PHAの生合成系遺伝子を導入すれば、さまざまな宿主にPHAを合成させることができる。これは、他のバイオプラスチックにはないPHA の特徴である。
島田浩章
プラスチックは、軽くて丈夫で成型が容易なことからさまざまな用途に用いられる、我々の生活に不可欠な材料である。しかし、近年は原油の価格が急激に高騰し、それとともに石油化学製品の値段が上昇していること、また、化石燃料を燃焼して生じる二酸化炭素は地球温暖化を引き起こす主原因であると考えられることから、石油に依存しない社会を構築することが求められている。このような背景から、バイオマスを原料としたプラスチック(バイオプラスチック)への期待が高まっている。
バイオプラスチックには、植物のデンプンなどを乳酸発酵して得られた乳酸を重合して作られる、ポリ乳酸などが知られているが、この生産には有機合成プロセスが必要である。一方、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)は、Ralstonia eutropha などの土壌微生物が貯蔵物質として合成する高分子脂肪族ポリエステルである(図1)。
PHAは、細胞内の酵素反応のみで合成が可能であり、有機合成のプロセスを経ずに生物だけによる生産が可能なバイオプラスチックである。そのため、PHAの生合成系遺伝子を導入すれば、さまざまな宿主にPHAを合成させることができる。これは、他のバイオプラスチックにはないPHA の特徴である。