環境ホルモンの男性生殖機能への影響

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商品コード: adma0192

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岩本 晃明,吉池美紀,野澤資亜利

1992年にデンマークのSkakkebaekグループが過去50年間における精子数の減少傾向を発表し、それが契機となって、内分泌かく乱物質(環境ホルモン)の男性生殖機能への影響に関する研究が国内外で重点的に推進されるようになって10数年が経過した。当初は、後ろ向きの(retrospective)研究からのデータがほとんどであったが、最近は、よくデザインされた前向きの(prospective)研究や断面研究(cross-sectional study)が実施されるようになり、異なる地域間・施設間での比較を可能にする研究方法(共通の研究プロトコールの使用、精液検査の精度管理の実施等)による研究成果が出始めている。男性の精子減少に関する問題は、昨今ではその論点が精子の「経時的減少傾向」から「地域差」に移りつつあり、地域差があると結論する研究結果が多く報告されている。この地域差が内分泌かく乱化学物質による影響であるとの確証は今のところないが、関連を示唆する結果も出始めていることから、本稿では、最近の精子濃度の現況と内分泌かく乱化学物質と精子の質についての関連を解説する。