狂犬病 ―36年ぶりに発生―

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山田章雄

2006 年11 月国立感染症研究所の小さな会議室に数名の研究者が集められた。京都市内の病院の入院患者が狂犬病であるかどうかを検討するためである。患者の症状や入院に至るまでの経緯に関する情報を精査することにより、真性の狂犬病である可能性がかなり高いという結論に達したため、医療機関の医師の協力の下、生前の確定診断を行うことが合意された。早速2名の研究者が病院を訪れ、患者の唾液、脳脊髄液、項部皮膚生検材料、並びに血液を採取、ウイルス遺伝子の検出を試みた。結果は陽性。36 年ぶりの輸入狂犬病患者の国内発生が確認された。それから2週間も経たないうちに、横浜市で再び患者が発生し、同様に狂犬病であることが確認された。マスメディアにも大きく取り上げられ、忘れかけられていた狂犬病がその恐怖とともに再認識されることになった。ここでは不治の病と考えられる狂犬病についてその実態を知ることにより、何をどう怖がればよいのかを解説したい。