乳児栄養研究における人工哺育システムの開発

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中山悠,桑田有

哺乳期における栄養研究

人工乳の評価は、乳児を用いての哺育試験に先立ち、動物による前臨床試験が不可欠である。

哺乳期の栄養研究には食性と成長がヒトに似通っていることから、サルとブタが適しているが、費用の点からサルは特殊な場合のみ使用され、ブタを用いた体系だった研究が欧米から1960 〜 2000 年頃まで多数発表されてきた。たとえば、米国の小児栄養研究所(USDA /ARS Children's Nutrition ResearchCenter)のPeter J. Reads のグループは新生仔ブタを用いて初乳、常乳、人工乳(主要栄養素を初乳に近似させたもの)を比較し、消化管の酵素系の発達、各臓器でのタンパク合成速度やアミノ酸の利用性など、いずれも初乳が優れていることを示した。

短期間での哺乳実験には使用できても、哺乳条件を厳密化して長期間多数のブタを飼育することは容易ではない。

そこで我々は、モデル動物としてラットとマウスを用いた哺乳実験系の構築を行った。ラットはヒトに比べて発生的には未熟な状態で誕生するため、ヒトの未熟児の栄養生理研究モデルや哺乳期の栄養が成熟個体の代謝への影響を研究するモデルとしても適している。

赤ちゃんラットを母親から離し、昼夜にわたり長期間哺育することはきわめて困難である。そこで我々はお椀の舟に乗せてラットを育てる哺乳システムを開発した。