創傷治癒のメカニズムと「ケガの功名」 ──生命の神秘と科学の醍醐味

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山手丈至

創傷とは医学用語です。「創」と「傷」は、どちらもケガの意味ですが、「創」は皮膚の深い損傷(ケガ)のことで、「傷」は軽い損傷で組織破壊をともなわない軽度のケガを指します。
　擦り傷や切り傷など軽いケガならば、比較的早く治りますが、皮膚が裂けるなど、縫ったりするような挫滅した深い創では、治るのに長い時間を要します。　ケガが治ることを創傷治癒といいます。さて、なぜケガが治るのでしょうか。
　ヒトを含めた多細胞生物のからだには自然治癒力が備わっています。それは細胞と細胞との会話により成り立つ現象です。ケガを科学し、その治癒のメカニズム(成り立ち)を明
らかにする試みは、生命の神秘と科学の醍醐味を感じることができ、命の尊さを知ることもできます。これこそ「ケガの功名」です。