食の信頼とフードコミュニケーション

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商品コード: adma0406

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商品について

中嶋康博

 2007年から2008年にかけて偽装表示や食品事故など、食の信頼を揺るがす事件が立て続けに起こった。その結果、消費者が食のシステムへの不信感を抱くようになったことは間違いない。
 これらの事件が深刻なのは、問題を起こした企業が傷つくだけではなく、このことによって引き起こされた不信感が消費者の間に広く伝播して、根拠のない疑惑や無用な懸念が、
本来関係していない他の食品企業に向けられてしまいかねないからである。
 私たちが商品を購入したとき、商品の内容が事前に期待していたとおりでなく、例えば宣伝で保証していた味でないと失望し、裏切られた思いがする。その頻度が高いと、消費者はその企業を信用できなくなり、購入をやめてしまうだろう。
 食品のビジネスは、くり返し購入してもらうことで成り立つものである。いったん不信感をもたれたら、またたく間に購入してもらえなくなる。したがって、企業は存続をかけて品質管理の精度を高める努力をし続けなければならない。
 しかしこのような努力をしても、
食品事業者全体への不信感が蔓延していたならば、それは評価されなくなってしまう恐れがある。不祥事を起こした企業の場合は自業自得だろうが、関係ない企業までもが色眼鏡で見られるようになると、改善努力をしても意味がないと考えてしまうかもしれない。食品産業全体が萎縮しないかが懸念される。それはいわゆる悪貨が良貨を駆逐する事態を招いているのであり、食の信頼は貨幣への信頼と共通するところがある。