テーラーメイド医療の進歩と将来

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商品コード: adma0361

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商品について

橋本康弘

人は、それぞれ体質が異なり、病気のかかりやすさや、最適な治療の方法なども人によってかなり異なることが知られている。したがって、医療は個人の体質に合わせた治療、すなわちテーラーメイドが理想の姿である。
 近ごろは、テーラーメイド医療を行ううえで欠かすことのできない分子マーカーの発見や遺伝子解析の技術が向上し、医学研究に大きく貢献している。
 さらに、個人の体質に合わせたテーラーメイドの新薬開発も活発に行われはじめた。薬によるテーラーメイド医療の方法は、大きくわけて2つの考え方にもとづいている。
 近年の医薬品は作用機序が明確なものが多く、治療薬が確実に奏功するように、薬剤の標的となる物質の構造を分析するなど標的分子の解析にもとづいた医薬品開発が行われている。いわゆるPharmacogenomicsと呼ばれる手法である。 
 標的になる分子が明確になると、より有効な作用が生みだされるだけでなく、副作用も少なくてすむ。さらに、開発を手掛ける企業は、標的分子に関する知的財産を所有することで、開発の独占権を特定期間持つことができるためビジネスメリットも生まれる。ゆえに、昨今の医薬品製造業界では、このPharmacogenomicsが普及しはじめている。
 もうひとつのテーラーメイド医薬品の開発手法は、薬物の体内への吸収率や排泄率の個人差を見極め、効果を最大限かつ最適に利用する方法である。この手法はPharmacogenetics(ゲノム薬理または遺伝薬理)と呼ばれる。
 薬物代謝酵素などでは、人によって酵素の作用度合いに違いがあり、薬の体内動態が変わる。そのため、血中濃度が予想以上に高くなり、薬の効きすぎによる副作用などがみられる場合がある。
Pharmacogeneticsで新薬を開発する際は、こうした薬物代謝酵素の活性の違いも考慮されている。