北海道の野菜はなぜおいしい?

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荒川義人

食べ物のおいしさについては、以前、本誌の特集『「食べる」のサイエンス』でも解説されているが、食べ物が持つ甘い、酸っぱいなどの味、歯応え、みずみすしさなどの食感、香り、色などの複雑な要素を、われわれは味覚、嗅覚、触覚、聴覚、視覚の五感によってとらえて総合的に判断している。とくに野菜のおいしさには、甘み、みずみずしさ、香り、色などの要素が大きく影響している。
 一方、おいしさの判断を左右する要素は、食べる人の側にもある。とくに、心理的な要素の影響は大きく、食べ慣れている、あるいはおいしかったと記憶している、つまりイメージの良い食べ物は、食べる前からおいしいとの判断が準備され、イメージの悪い食べ物は食べる前からおいしくないと決めつけられ、いわゆる食べず嫌いとなる。
 北海道を観光などで訪れる人たちは、「北海道は食べ物がおいしい!」としばしば口にする。その背景には、広大な大地と豊かな自然に恵まれ、多種・多様な食材の宝庫という事実から、生鮮食品の産地としてのイメージの良さがある。加えて、食料自給率(カロリーベース)が200%を超える北海道は、じゃがいも、小豆、大豆、たまねぎ、かぼちゃ、にんじんなど、多くの品目が全国一の生産量を誇っており、全国津々浦々に流通している。したがって、ほとんどの人が北海道産の食材に接し、野菜にも食べ慣れ、親しんでいる。こうしたことが道産食品のブランド力を高め、「北海道の野菜はおいしい」というイメージを浸透させる要因になったのだろう。
 では、“前菜”に続いて、本稿の“メインディッシュ”に移るとしよう。