テレビ電話を用いた遠隔医療の意味するところ

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栗原毅

高齢化が進んだ地域や過疎地域のみならず、都市部においても医師不足は深刻だ。医療体制の崩壊は現実のものとなり、その対策は急務である。今、情報コミュニケーション技術(ICT)を活用した遠隔医療が問題解決の有効な手段になることが期待されている。ところが、わが国では、医師法との関連で、診療とは、病院・診療所などでの医師と患者の「対面診療」が原則であるとされており、遠隔医療が可能な範囲が明確になっていない。
 われわれは2007年から日本各地の3地域で、テレビ電話を用いた遠隔医療相談システムの実証実験を行ってきたが、予想以上の効果に驚いている。まず、東京都区内で実施した高齢者40人を対象にした実験では、テレビ電話で医師が月1回、計3回指導したのみで重度の糖尿病患者の血糖値がほぼ正常になったケースがあった。2008年からは、東京都奥多摩町で80 〜120名の参加者を対象に行い、約8割で症状や血液生化学的な改善が確認できている。さらに、2009年からは岩手県遠野市でも開始。300〜400名の希望者に対し実施して、大いなる手ごたえを感じている。現在、奥多摩町、遠野市ともに継続中である。