海外科学雑誌情報 Silva Scientiae XVII

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久原孝俊

─生物多様性条約第10 回締約国会議(COP10)をふりかえる─

46 億年の地球の歴史のなかで、地球は40 億年もの長い歳月をかけて、かけがえのない生物多様性を育んできた。最近の調査によると、日本人の約60%は生物多様性を知らないという。これは、「多様性」"diversity"というやや専門的な響きのすることばのせいかもしれない。1993年に発効した生物多様性条約のもとでは、「生物多様性」は「すべての生物の間に違いがあること」と定義されている。生物多様性ということばを聞くと、(生物)種の多様性のみを思い浮かべやすいが、生物多様性の概念には、「種の多様性」、「遺伝子の多様性」、および「生態系の多様性」が含まれている。「生物多様性」は、けっして科学者たちのためだけのことばではない。生物多様性は、生物学的あるいは生態学的側面のみならず、人間社会や経済活動にも大きなかかわりをもっているのである。