ー 総論 ー 「多様化する 我が国の鯨類研究」 にあたって

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加藤秀弘

最近、各国における鯨類研究の展開について考えることがあった。この記事が紙面に載る頃には、既に趨勢が決まっていると思うが、2010年6月下旬には第62回国際捕鯨委員会(IWC)の年次総会が始まる。そこでは、IWC正常化に向けたエポックメイキングな決議が採択されるかどうかが鍵となるはずである。総会はわずか1週間ではあるが、その前段がなかなか大変である。先(戦?)端を切るのは科学委員会で、以前は3週間もあったが現在では概ね2週間、その後に技術的ワーキンググループや行政関連の会議を1週間経て総会に入るから、会期は都合1ヶ月におよぶ。IWC科学委員会はおそらくあらゆる分野を含めても、もっとも難しい学会の1つに入るであろう。その会議に大学院を出た直後から、気が付けばかれこれ30年間も出続けている。職場も、旧鯨研、水産庁遠洋水産研究所、独立行政法人水産総合研究センター遠洋水産研究所(遠洋水研)、そして海洋大と変わった。相当に性格も捻れあがってくるではあろうが、少なくとも今のところ30年前と同様に空は青くみえるし、一仕事の後のビールの味もひとしおで、これも変わっていない。