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児玉聡,赤林朗 今日のグローバル化された現代社会においては、生命科学および医療技術の発展が社会に与える影響は、ますます広範かつ多大なものとなっている。たとえば、ES(胚性幹)細胞やiPS(多能性幹)細胞等を用いた再生医療や脳科学研究、急増する海外共同治験等の国際共同研究、終末期医療や生殖補助医療のように、次々と生み出される倫理的・法的・社会的諸問題への対応は喫緊の課題である(以下では、これらの問題をELSI問題:Ethical, Legal, and Social Issuesと呼ぶ)。 生命倫理学(Bioethics)は、学際的な取り組みを通して、生命科学や医療技術がもたらすELSI問題に取り組む学問である。本稿では、最初に生命倫理学の定義と簡単な歴史を紹介し、次に今日の生命倫理学が直面する課題について概説する。次回以降は、ヒト胚研究、研究倫理、臓器移植などの各論的な解説を行う予定である。
児玉聡,赤林朗
今日のグローバル化された現代社会においては、生命科学および医療技術の発展が社会に与える影響は、ますます広範かつ多大なものとなっている。たとえば、ES(胚性幹)細胞やiPS(多能性幹)細胞等を用いた再生医療や脳科学研究、急増する海外共同治験等の国際共同研究、終末期医療や生殖補助医療のように、次々と生み出される倫理的・法的・社会的諸問題への対応は喫緊の課題である(以下では、これらの問題をELSI問題:Ethical, Legal, and Social Issuesと呼ぶ)。
生命倫理学(Bioethics)は、学際的な取り組みを通して、生命科学や医療技術がもたらすELSI問題に取り組む学問である。本稿では、最初に生命倫理学の定義と簡単な歴史を紹介し、次に今日の生命倫理学が直面する課題について概説する。次回以降は、ヒト胚研究、研究倫理、臓器移植などの各論的な解説を行う予定である。