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奥野良信 発育鶏卵は、インフルエンザウイルスを増殖させるには極めて優れた材料で、研究とワクチン製造には欠かせないものである。ウイルスを接種するのは10〜11日齢の孵化鶏卵で、適当に希釈したウイルス液を尿膜腔内に注入する(図1)。孵卵室で2日間培養すると、ウイルスは漿尿膜を形成する細胞層で急速に増殖し、漿尿液中に蓄積される。次いで1日間、冷室に入れておくと胎子は死亡するので、卵殻を割って漿尿液を採取する。1個の発育鶏卵から約10mlの漿尿液が採取でき、これらを集めたものがワクチンの出発材料となる。
奥野良信
発育鶏卵は、インフルエンザウイルスを増殖させるには極めて優れた材料で、研究とワクチン製造には欠かせないものである。ウイルスを接種するのは10〜11日齢の孵化鶏卵で、適当に希釈したウイルス液を尿膜腔内に注入する(図1)。孵卵室で2日間培養すると、ウイルスは漿尿膜を形成する細胞層で急速に増殖し、漿尿液中に蓄積される。次いで1日間、冷室に入れておくと胎子は死亡するので、卵殻を割って漿尿液を採取する。1個の発育鶏卵から約10mlの漿尿液が採取でき、これらを集めたものがワクチンの出発材料となる。