ヒトパピローマウイルス感染と子宮頸がん ―発がんの仕組みの解明とワクチン開発戦略―

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神田忠仁

子宮の下部で膣とつながる管状の部分を頸管部といい、ここに発生したがんが子宮頸がんである。世界の女性のがんでは乳がんに次いで多い。頸管部に生じた前がん病変を検出して発がん前に治療するため日本を含む先進国は定期検診を行っている。これらの国では女性10万人あたり5〜10人が発症し、その3分の1が死亡している(表1)。検診制度のない開発途上国に多くの患者がおり、世界では2 分に1 人の女性が、日本では1日に7人の女性が子宮頸がんによって死亡していることになる。

これまでの研究で、子宮頸部前がん病変はヒトパピローマウイルス(HPV)感染によって形成されることがわかってきた。細胞の異常な増殖を引き起こす分子機構は、HPVがヒトに潜伏・持続感染する性質と密接にかかわることが示され、子宮頸がんの予防を目指すHPV感染予防ワクチンも開発されている。