生き物たちに向けてきたまなざし : 第3回 ナチュラルデータと取り組んだ歴史 3 自然観に時間軸が導入される

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西村顯治

19世紀になると、生物進化やからだの発生過程に目が向けられる。自然に注ぐまなざしに、それまで欠けていた時間軸が加わったのである。増大するデータの記録整理に追われた16世紀から19世紀前半までのナチュラリストたちは、山積するデータの本質を把握して客観的にまとめようと、自然の体系を模索した。また比較解剖学者たちは、人体やさまざまな動物の内部構造を総合的に把握しようと、プランを追究した。しかし、目的論的な体系やプランの模索から発想を転換して、そのように多様な生物種が生じてきた経緯が問われ、からだの形成過程が追究されるようになる。この転換は、19世紀の時代思潮から生まれるべくして生まれたものであり、20世紀の歴史全般に深くかかわることになる。