東洋医学と生命科学の融合を目指して : 第3回 和漢薬の品質の多様性と標準化 ―人参類生薬について

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小松かつ子

漢方薬は、天然物に由来する生薬が一定の法則のもとに配合されたもので、生薬同士が互いに協調しあいながらさまざまな臨床効果をもたらす。その生薬もまた、多成分から構成されているため、薬効が多岐にわたり、共存する成分の影響で難溶性成分が易溶性になるなどの利点がある。その反面、天然物故の欠点もあり、同一名称で数種の植物、異なる産地のもの、採集時期や加工調製法が異なるものが生薬として使用される(異物同名品)場合があり、これが原因となって品質が変動するため常に力価の検討が必要とされる。さらに近年、生薬の供給元である地球の自然は温暖化や人為的な破壊により刻々と変化し、それに伴い天然薬物資源は減少しつつあり、生薬資源を永続的かつ有効に利用する方策を立てることが伝統医学存続のために急務となっている。

日本の漢方で用いられる生薬は国産品(和薬)もあるが、約90%を中国産の生薬(漢薬)に依存している。中国における生薬資源の状況を正確に把握し、品質の多様性を明らかにし、それらの有効利用と安定供給を計ることが重要である。一方、野生品への依存度を減らし、栽培品へと転換していくことも必要であり、そのためには良質の生薬を科学的な根拠に基づいて選択しなければならない。ここでは、薬用人参、三七人参などを含む人参類生薬について概説する。