昆虫のふしぎを探る : 第1回 ヤマトヒメミミズの再生研究による未知の遺伝子の探索

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茗原眞路子

ヒドラやプラナリアは、体を小さく切り刻んでも、それぞれの小断片から完全な個体が再生されることが古くから知られている。このような著しい再生能力は、色々な細胞に分化することができる多能性幹細胞が体中に多数分布していることによって可能になっている。環形動物(ミミズ類やゴカイ類)の中にも、プラナリア並みの強い再生能力をもつ種類が存在するが、その再生は多能性幹細胞によるのではなく、既存の分化細胞が脱分化(幹細胞化)することによって起こると考えられている。このような再生様式は、イモリ等の脊椎動物の再生と同じである。したがって、環形動物の再生メカニズムが解明されれば、人間を含む高等脊椎動物の再生力を高める方法を模索する上で、貴重な手がかりが得られるものと思われる。

私たちは、プラナリア並みの強い再生力を持つ環形動物「ヤマトヒメミミズ」を再生研究の新しい実験モデルとして、その再生メカニズムを遺伝子レベルで解明することを目標に研究を続けており、本稿ではその成果を紹介する。