ナマコの養殖─生物学から新養殖技術開発まで─

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商品コード: adma0352

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奥村誠一

世間一般では、「ナマコ」と聞くと食べ物として、あるいはグアムなどのビーチで見かけるゴロゴロと横たわる奇妙な生き物としてイメージされるであろう。最近の若い人たちはナマコをあまり食べないようであるが、中年以上の年齢層ではけっこう好まれている食材である。
 わが国では、薄切りにして酢の物で食べるのが最もポピュラーであるが、腸の塩漬け(このわた)や卵巣の乾燥品(くちこ)も高級な酒の肴として重宝がられている。また中国では、ナマコの乾燥品が高級な食材として昔から揺るがぬ地位を築いてい
る。そして、近年の中国の経済発展にともなってナマコの需要・価格が急騰し、日本国内で漁獲されるナマコの多くが中国へ輸出されるようになった。本稿では、このような背景のもとにナマコの増養殖技術開発の重要性がクローズアップされているなか、ナマコの生物学的特性、食文化、養殖の実例、そして新養殖技術開発の試みについて解説する。