食べ物と香りと

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商品コード: adma0335

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高野克己

鼻をつまんで物を食べると、味がわからない。当然、美味しさを味わうこともできない。目もつぶってしまうと、食感で米か麺か、肉か魚かといった大ざっぱな違いはわかるが、食べ物を特定するのは極めて困難だ。

仮に今、空腹の状態で真っ暗な部屋にいるとしよう。そこにはバナナと、菜っ葉がある。すると、多くの人は甘い香りがするほうを口にするはずだ。なぜなら、甘い香りはエネルギー源になる食べ物だということを経験的に知っているからだ。一方、菜っ葉の青臭いにおいは青葉アルコール(Z-3-ヘキサナール)や青葉アルデヒド(E-2-ヘキサナール)に起因しており、脂肪酸の酸化によって生成され、濃いと食品の場合は不快臭としてとらえられやすい。

つまり、私たちは何かを口にしようとするとき、無意識のうちに嗅覚を使い、その食べ物の特徴や安全性を確認しているわけである。