海棲哺乳類の大量死と感染症

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大石和恵

近年の人類の活動は、相対的に地球の規模を縮小させ、環境変化や気候変動をも引き起こしていると考えられる。その結果、多くの野生動物の行動域や生息域が変化し、これまでに出会うことのなかった新たな動物同士の接触の機会を高め、結果として感染症のリスクを高めてしまった。その中には海棲哺乳類も含まれる。

海洋には、赤道近くから北極・南極の海域までダイナミックな周年性の回遊をするヒゲクジラ、限定的な海域で季節的回遊をするハクジラ、アザラシ、比較的定住的なジュゴンやマナテイーのような海牛類の哺乳類が棲息している。

クジラやアザラシの大量死がときおり報じられるが、多くの場合、その原因はモービリウイルスやインフルエンザウイルスによる感染症が原因だ。

また、繁殖に影響を与える可能性のある感染症として注目されているブルセラ菌の感染が、鯨類や鰭脚類に広がっていることがわかってきた。本稿では、海棲哺乳類の感染症の中でも致死率の高いモービリウイルスについて述べる。