鑪迫典久

実は、ミジンコは化学物質に対して感受性が高いことが知られており、日本の化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)やOECDの化学品テストガイドライン(TG202、TG211)、あるいは欧州の新しい化学物質規制であるREACH (Registration Evaluation Authorization Chemicals)やEU 医薬品庁(EMEA)による人用医薬品の環境リスク評価に関するガイドラインのなかで、実験生物として用いられている。つまり、化学物質が生態系に与える影響を測定するための1つの指標として、ミジンコの毒性試験が用いられているのである。これらの試験では、化学物質によってミジンコが泳げなくなる、あるいは単為生殖によって子虫を産む数が減るという2点が主たる観察点(エンドポイント)になっている。他にも、魚、植物プランクトン、昆虫、バクテリアなどの生物が生態影響評価のための実験動物として挙げられているが、なかでもミジンコは、もっとも広く用いられている試験生物といえるだろう。