地球温暖化問題に「炭」で取り組む ―炭化におけるカーボンシンクを目指して―

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凌祥之

近年、地球温暖化、炭素取引によって、俄然炭化や炭化物に注目が集まっている。ボランティアマーケットにおける炭素取引や国家間のCDM(クリーン開発メカニズム)の手段として、炭化物が認定されれば、これまで炭化物の普及で最大の問題となっていたマーケットとコストの面で大きな改善が期待される。さらに、アマゾン流域にあるテラ・プレタという肥沃な土壌が、長年の研究の結果、山火事由来の炭化物の蓄積に寄るものであることがわかり、土壌科学の分野でも炭化物が大きな脚光を浴びた。このような機運から、土壌の研究者が中心になってInternational Biochar Initiatives(IBI)が立ち上がり、2006年から本格的な活動を始めている。

木炭は、最も有名な炭化物である。古来、日本人は木炭を固体燃料としてだけでなく、床下調湿材、水質浄化材、土層改良材、調度品、化粧品にも使用してきた。このような国は西洋では珍しいようだ。現在、我が国や韓国などでは、有機性廃棄物を処理するための技術として炭化が利用され、バイオマスなどの材料から作成した炭化物を利用している。我々はこの有機性廃棄物から作成した炭化物を「再資源炭」と名づけ、適正な製造と利用技術の確立に努力してきた2)。その結果、現在では炭化に関する仲間も裾野も広がった。

本稿では、炭化が安定的なカーボンシンクとして認定されることを目指す国内外の動きを紹介しながら、新しく我が国を中心に炭化物の普及を目指し設立した日本バイオ炭普及会(JBA)の活動を紹介する。